R太のスパークリング日和

R太です。40代のおじさんです。男女2人の子育てと家事にフルコミット中。 どうにもならない日々のいらだちや喜びを書いてます。

日本を変えたかも知れないオバサン社会について

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残暑が終わり、いよいよ暑さが和らいできた。朝の総武線の始発に乗り込む。眠気に暫し瞑目していると、すうっと寝入ってしまった。しばらくして鼻をつく匂いに、目をこすると、斜め前の一角がいつもと違う。

ぽつんと座るヒゲだらけの老人。乱雑に積み上がった荷物。酸味のある臭気は尿の匂いだろうか。周囲は誰も座ろうとしない。かつて幾度か経験した。急いで乗り込んだ車内に漂う、モアっとする臭気。ホームレスの老人であろう。朝からあまりいい気はしない。読書に神経を集中しようと本を取り出す。

ふと、老人が動き出した。乗り込んできた女性に札のような紙を差し出す。怪訝な顔の女性。しばらく、佇み、席にもどる老人。なにをしているのだろうか。4度目に席をたった老人の紙を遠目からのぞく。円という文字が見えた。4度目の女性への接触も無駄に終わったらしい。

おそらく、お恵みを要求しているのだろうと、私は、鼻白む。新宿駅手前の駅に停車する頃、老人が降車するらしく荷物をまとめ始めた。そして、私は驚くべき光景を見た。並びに少し離れて座っていたピンクのセーターの中年女性が、老人にお金を手渡したのだ。

それまで、老人は女性(主に中年)が乗ってくるたびに歩み寄って札を見せていた。もれなく、女性だ。当然、怪訝な顔をして避ける女性が大半だが、私のような男性には、そもそもよって来ない老人。これは、その老人なりの成功体験からくる戦略であろう。見事に功を奏したのだ。

しかし、すごい。この中年女性には感服した。電車内という狭い閉鎖空間。いろいろな人の目がありながら、お恵みを与えるという行為。

思えば、中年女性という人たちはときにすごい慈悲を発揮する。これも電車内での体験だが、夜11時くらいの電車。泥酔した若者が、席で盛大に吐いた。苦い顔で見ている人々の中で、いち早く動いたのがこれまたオバサンである。私にはできない。する義務もないし、汚いし、嫌だ。しかし、どういう行動原理かオバサンは動けるのだ。オジサンはできないのだ。(もちろんできるオジサンもいるだろうが、見たことがない。)

「侵略のススメ」に出てくるアイスランドの女性社会

そんなことを思いつつ、最近見たマイケル・ムーアの「侵略のススメ」
いろいろな国の素晴らしいシステムを侵略という名目で紹介するムーアの企画。この中でアイスランドがでてくる。女性初の大統領を輩出したこの国は、とにかく女性が男性をしのぐ勢いで権力を握る。そして、素晴らしい国作りにつながっているという。

日本はもしかしたら、オバサンというとんでもない慈悲と勇気と行動力を持つすごい人たちを、ただの家事をするだけの主婦として飼い殺ししまったのではなかろうか。映画の中で女性CEOが女性1人は飾り、2人では無力、3人いれば世界を変えられるという。

たしかに、この慈悲深い女性たちがお飾りでなく、本当の意味で、ジャパンにリーダーとして君臨していたなら…。もしや、少子化や、セクハラ・パワハラ、子供の虐待、ブラック企業問題など様々な問題は日本で起こってなかったのではないだろうか?もちろんオバサンが社会で活躍すればその影響を受けた、数々の若い女性たちも立ち上がるだろう。

朝の電車内で、オバサン社会に思いを馳せる私がいる。