R太のスパークリング日和

R太です。40代のおじさんです。男女2人の子育てと家事にフルコミット中。 どうにもならない日々のいらだちや喜びを書いてます。

R太2018読書大賞発表

趣味は読書である。そんな私が今年読んだ中から選んだ読書大賞を勝手に決める、バンザイ。12月は忙しなくあまり読書できなさそうなので11月末に集計。

まずは今年の読書量をチェック。しめて62冊。まぁなんというか地味な数量。

月5-6冊のペース。ちなみに、入手経路の内訳は以下。

  • 図書館24冊
  • Kindle 有料21冊
  • Kindle 無料(Prime 読み放題)15冊
  • 父より借りる1冊
  • 義父より借りる1冊
こうしてみると、Prime 読み放題も意外に活用している。そして、有料購入はもはやAmazon Kindleのみ。書店で購入など皆無になってきた。恐ろしい。
 
仕事、育児、家事が日常の大半を占める中で、読書の主戦場はもはや電車の中。そういう意味では、片手でページめくりができるKindleがやはりいい。本はめくるときにどうしてもつり革を離さなければいけない。そんなときに揺れが来たりしたら危ないし、いちいち面倒だ。あとめくったあとに、読書しながらつり革を再び持とうとするとき、8割がた空を切る。これも嫌!
 
あとは蔵書の問題。部屋の本の惨状をごらんあれ。カバーが外され、ときにビリビリ。本体にもなんかクレヨンとかの落書き。もはや蔵書する気もおきない。いうまでもなく、わんぱくキッズの仕業である。諸説はあるが、自分にとっては買うなら電子書籍一択になってしまっている。残念なことに…。
 
今年も、せこせこと主に通勤電車の中で読んだ本。その中から、最良だったものを3冊厳選。もともと母数が少ないのでさほどの厳選感もないけどね。
 

1位 津波の霊たち リチャード・ロイド・パリ―

これは、凄まじかった。2018年に出た新刊であったがなんとなく即買い。外国人ジャーナリストによる東日本大震災、とりわけ「大川小学校の悲劇」についての考察やインタビューが中心。子どもが生き残った親、全て失った親。失った親の中で、早期に遺体を回収できた親、いまだに不明の親。被災者の中でも、なにがどのくらい残ったかで、しだいに断裂していく関係性。人間関係の複雑性を、見事に切り取っている。最終章において、金田住職という一人の僧侶がでてくる。彼の体験する壮絶な除霊体験も凄まじい。時として人は、遠い距離の人だからこそ複雑な胸のウチを話せる。そういう意味では、外国人だからこそ聞き出せたと思えてならないことが多い。著者はジャーナリストであるが、すぐれた物語作家のような叙情性も兼ね備えている。
 

2位 かがみの孤城 辻村深月

辻村さん 読書感想を書く習慣がある私は、かつて彼女の著書「ツナグ」では、こう評した。
「こういった設定は、自然と感動のハードルが上がるが、自分にとってはさほど感動的な物語はなかった。こういった小説に、リアリティは必要ないのだが、でもやっぱり設定に無理があるような気がする。」(R太読書感想より)
また、「ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ」においては
「うーん、しかも根本的に会話のリズムが悪い。もしくわ場面転換のリズムというか・・とにかくいまいちであった。」(R太読書感想より)
むちゃ辛口である。とにかく、この2冊ですっかり読まなくなっていた著者であった。本屋大賞ということで、重い腰を上げ読んでみてびっくり。面白いやないの…!かなりの長編だが、エピローグまで通して、素晴らしい小説。ある日開いた鏡の中の世界。そこで出会う色々な理由で不登校になっていたり鬱屈している7人の少年少女たち。それぞれの少年少女の物語が、ミステリーをまじえ徐々に紐解かれていく展開に目が離せなかった。違う世界だとしても、信頼できる仲間がいる。これだけで人は強くなりうる。私には、昔からよく思うことがある。例えば、電車に急いでドアに挟まれる。道端で転ぶ。そんな時を思い浮かべてほしい。とっても恥ずかしいよね。しかし、例えば仲良しな友人が隣にいたらどうだろう?格好の爆笑ネタではないか。「アホか~」なんていって一笑。同じ物事でも、隣に誰かがいるというのはそれだけの違いがあるのだ。そんな「誰かがいる」という力強さを物語を通して教えてくれた。いやぁ、辻村さんはいい作家ですね!
 

3位 漫画ルポ 中年童貞 中村敦彦 桜壱バーゲン

迷った末に三番手はこちら。かつて素人AV嬢のノンフィクションを書いて有名になったライターである中村淳彦。ブックオフに売ってしまったが、確かに以前持っていた。なんと稼げないライターを引退して、介護施設を運営していたとは。本書はそこで働く中年童貞の従業員を軸に、かなりの偏見を交えつつ書いたルポの漫画版。とんでもないキャラがオンパレードである。とても衝撃的な作品だが、途中までは面白おかしく読んだ。ケース7までは。この7にて価値観をすっかり変えられてしまった。簡単に言えば、7の人は、実際はノーマルなのにあまりにも女性に相手にされないため、自分は性同一性障害であると思い込む。そして、ハッテン場に行き、実際に男と性交してしまうのだ。もちろん、やられる側である。ノーマルなのにお尻を差し出し、そして次第に満足感を得ていく。LGBT差別などが叫ばれる中、なんというかとてつもなく深い闇である。中年童貞というものも、LGBTの次にC(Cyunen&Cherry)として入れてほしいくらいだ。思うに、性行為というのは究極の承認欲求を満たす行為だ。生物として求めてしまうのは仕方ないとして、それが叶わないとき、なんと悲しい事態になるのか…。童貞という純潔男性だけに、風俗では埋められないのも怖い…。果たしてどこまでの孤独の果てに、自分は男と性交ができるのだろうか?想像するだけで、虚無感に覆われる。

というわけで、2018今年の読書大賞以上。